下水道の役割
日本では、明治時代に雨水排除と公衆衛生の向上の観点から東京や横浜など大都市部で近代的な下水道が着手されました。戦後の急激な経済成長と生活様式の変化によって、昭和30年代以降、川や海の水質汚濁問題がクローズアップされるようになりました。
このような状況の中、昭和42年には公害対策基本法が制定され、排水規制と共に下水道が川や湖沼などの公共用水域の水質保全のための重要な対策として位置づけられました。
更に地球規模の環境問題への関心が高まり、資源の有効利用、リサイクル等、循環型社会での下水道の役割が認識されてきました。
川などからくみあげられた水は、私たちの暮らしの中や工場などで使われています。使われて汚れた水は、下水道管を通って処理場に送られ、そこでキレイに生まれ変わった水は再び川や海に戻されます。
このように、下水道は「水の循環」の中で大切な役割を持っているのです。
水の循環
家庭や工場からの汚水は、汚水ますを通って下水道管へ。清潔で快適な生活環境を作ります。下水を処理し、キレイにした水を放流することで、川や海の水質を大切に守っています。
下水道の役割
快適な生活環境を造る
下水道を整備することにより、汲み取り便所がなくなり、清潔で快適な水洗トイレを使用することができるようになります。
そのため、子供やお年寄りの方でも安心してトイレを使うことができるようになります。
また、側溝や川に汚水が流入しなくなるので、悪臭や蚊、ハエの発生を防ぎ、街が清潔になり生活環境が改善されます。
地域ぐるみで水洗化が進めば、汚れた側溝もきれいになります。その結果、清潔で住みよい環境の街になり、快適なくらしができます。
川や海をきれいにする
川や海を汚している大きな原因は家庭から出る汚れた排水です。
家庭、事務所や工場からの排水を下水道管で終末処理場に集め、浄化し、きれいにしてから川に放流するので、川や海がきれいになります。そのため、今まできれいな水にしか住めなかった魚などの生物が住むことができる清流がよみがえります。
浸水被害を防ぐ(合流式の場合)
街中に降った雨水を道路側溝や下水道管を通して速やかに川や海に排除して浸水などの災害から街を守ることも下水道の大切な役割です。
川に丈夫な堤防を築いても、街中の雨水を排除するための水路やポンプ場がなければ、浸水を防ぐことができません。
資源を有効利用する
下水道には、水、汚泥、エネルギー等多くの利用可能な資源があります。
省エネルギー・リサイクル社会を実現するために、都市部の水循環の要として下水処理水の活用が注目されています。
また、下水処理場の上部を公園として利用したり、下水道管渠を活用した情報通信網の整備などが期待されています